もし100万円拾ったら、もしアメリカ大統領に指名されたら、もしサイボーグ手術を受けるとしたら。昔はこういう想像をよくしていたが、いつからかそれをしなくなったことにふと気づく。どうせそんなことは起こりそうもない、などといつの間にか思っていた。しかし実際そんなことが起きた時、想定してませんでした、で良いのだろうか。むしろ昔より今のほうが、そんな言い訳が通用しないだろう。大人だったら明日何が起こっても冷静に対処できるべきであり、だからこそ日々想像を広げておくべきである。環境条件は常に変化する。過去に想像したことがあったとしても、再度想像することは必要である。それが自己のメンテナンスにもなりうるのだ。
そんなわけで、もしドラクエの呪文がなにか一つ使えるようになったらどうするか、考えてみたい。
果たして何を選択するのが良いのだろう。
・ルーラ
これは多くの人がまず考える呪文ではないだろうか。ルーラが使えれば通学通勤がめちゃくちゃ楽になるし、どこへ遊びに行くにも便利だ、なんて考える。しかし待って欲しい。本当にあの呪文は日常において便利だろうか。まずは冷静に細かい仕様をみてみよう。
ルーラは一度行ったことのある場所へ瞬間移動できる呪文だ。だが落とし穴がある。ルーラで指定できるのは町や城単位であって、例えば宿屋に直接飛ぶことなどできないのである。これを現実に翻訳すると、市区町村単位では行き先を指定できるが◯◯ビルの前とかは無理ということだ。そして飛ばされる先は街の入口、すなわち足立区だったら足立区の入り口に飛ばされるということである。僕自身は街の入口は駅の出口、みたいな感覚でいるが、実際ルーラで帰宅しようとしたら足立区と葛飾区の境界にポツンだ。駅まで結構歩くことになるだろう。
あるかないかで言ったらあったほうが便利に決まっているが、別になくても事足りる。折角の呪文をこれにするのは考えものである。
・メラ
冬場とか暖房に使うとかはありえない。言っとくけど、火って、めちゃくちゃ危険だから。おとなしく毛布にくるまるかエアコン使え。
実用的な用途としてはライターを忘れたとき助かる、くらいだが、だったらコンビニで100円ライター買え。
・ヒャド
夏場とか冷房に使うとかはありえない。あれ、対象を冷やすわけじゃなくて、氷の塊が出る呪文だから。もし職場でヒャドを使ったら、しばらくは冷えるだろうけど、小一時間もしないうちに机の上びちゃびちゃだから。周りの人ドン引きだから。おとなしく扇風機かエアコン使え。
・ピオリム
素早さをあげる呪文なんだけど、わりといいかもしれない。素早く動けたら、朝駅までダッシュするのも楽になるかもしれんし。けど現実においては朝の歩道って混んでるし、周囲のペースに合わせざるを得ないことのほうが多い。だからピオリムを使った分ストレスを貯める結果になるだろう。オレ素早さ高まったるのに!って。で結局ストレスで寿命が減って素早く死ぬことになるから、あんまり使えないかも。
・ホイミ
これも一見便利そうだけど、大人になってから怪我することなんてほとんどないし。せいぜい足の小指をどっかにぶつけた、とかが年一である程度だけど別にホイミかけたってあの痛みが記憶ごと消えるわけじゃないだろうし。小さい子供のいる家庭では重宝するだろうけど、自分の身近にはそんなもの皆無だし。イラネ。
・ニフラム
自分より弱い相手を光の彼方に消し去る呪文なんだけど、これは殺虫剤としてなかなか良いかもしれない。でも、もし虫を殺せなかったら、これめちゃくちゃショックだと思う。あ、自分、蚊よりも弱いんだ、って。凄い落ち込むと思う。大体強いとか弱いとか、何において言ってるのかわからんじゃないか。でも蚊をニフラムで消せなかったら、自分の何かが蚊に劣っていることが判明してしまうわけですよ。ああ、強さってなんだろうな。
・ラリホー
対象を眠らせる呪文なんだけど、これを覚えれば不眠症の人を寝かせる仕事を立ち上げて一財産得られるかもしれない。でも残念ながらこの呪文、効かないときもあるから。全然寝られなくてイライラしてる人に真顔で「しかしこうかはないようだ」とか言ったら多分ぶん殴られると思う。だからやめておこう。痛いのやだし。
・ラナルータ
昼夜を逆転させる呪文。これさえあれば、出勤してタイムカード押してラナルータ唱える、タイムカード押して帰宅、という超絶に楽な日常をこなせるわけだ。夢のようじゃないか。
だけどラナルータには二通りの解釈ができるわけで、一つは全世界が呪文によって瞬時に昼夜逆転する解釈。これが正しいとすると、例えば日本でずっとその楽な状況を作り上げ続けたら一週間もしないうちに経済破綻するだろう。それにブラジルあたりの人は全員過労死する。
もう一つは、僕の意識だけが昼から夜にぶっ飛ぶ解釈。こうなると、三日と経たずに職を失うだろう。うまい話は穴だらけってことですよ。
・バシルーラ
実は大本命。バシルーラをかけられると、対象は異次元に吹っ飛ぶ。素晴らしいね。これさえあればゴミ問題とかだいたい片付くわけですよ。全部異次元に送っちゃう。廃車も大型家電も産業廃棄物もまとめてポイ。
でも問題はないわけじゃない。もし、異次元に知的生命体が住んでいたら、ということだ。きっと怒るだろう。怒りのあまり次元を超えて戦争を仕掛けてくるのも時間の問題になってしまうかもしれない。それはいかん。
ここは一つ、まずはバシルーラで手紙を送ってみるのがいいだろう。ハロー異次元人。駄目だ相手にされるはずない。
・マホトーン
相手の呪文を封じる呪文。価値はない。だって誰も呪文なんて使えないし。

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