違うんですよ。
誰だって忘れ物ぐらいするじゃないですか。あまつさえ二日連続で忘れてしまうことだって、十分あり得ることですよ。いいですか。所持されるべきものの状態は所持されているか所持し忘れているかのいずれかです。このうち所持し忘れている選択肢は2分の1です。これが二日連続で起きる確率は4分の1、つまり4日に1日は何かしらの所持すべきものを2日連続で忘れている可能性が非常に高いのです。財布とかケータイとか向上心とか道徳とか、他にも友人上司恋人の名前だって忘れていたっておかしくはない。おかしくないんです。
そんなわけで2日間ほど万歩計の数値が0になってしまった。しかし、しめたとばかりにサボり続けてしまっては確実に面倒だったら所持しないという習慣が確立されてしまいそうだ。従ってテキトーに何かを書いて今日のブログを埋めてみる。
そういえば今日もバイトだったのだが、少し怖いことがあった。
いつものように客はまばらで、店内には何年も前からありそうな今どきの邦楽が流れていた。店長もいなくなったことだし、そろそろチャンネルを変えようかと思ったときその客は来た。40代後半と思しきその男性はレジに雑誌を差し出した。見たことのない顔ではない。特に格好が汚いわけでもなければ顔や体格にもこれといって特徴のない普通の客だ。会計を済ませるとその客は、天井を指さし僕に尋ねた。
「これは、有線ですか?」
僕は一瞬固まってしまったが、何とか笑顔で頷いた。客は納得したように頷き返すと、そそくさと店内から出ていった。
出来事としてはこれだけである。普通に考えれば、流れていた音楽が気に入ったかあるいは気に入らなかった、といったところで済ませてしまえるものだろう。けれどそれは、この質問が初めてであった場合だ。しかし、実際にはこれで3回目だった。なんの特徴もないこの客を物覚えの悪い僕が記憶していたのもそのせいである。
以前質問されたとき流れていた音楽と今回のものは明らかに趣味の違うものだった。それも3回とも全く違う。
どういうことだろう。
単純にこの男性客が世間話のバリエーションがこれ以外にはないということだろうか。しかしそこまで彼にとって定番なら、そこから広げる話を振ってこないのはなぜだ。第一、彼がコミュニケーションを求めているようには見えない。件の質問も仕方なくしている印象が強い。
では、その客が仕方なくその質問をしていると仮定する。彼は何らかの理由からその質問をしなければならないということだ。ならば、その理由とは何だろう。彼は「これは、有線ですか」と聞いた。そして、有線ですという僕の返答におそらく納得して帰っていった。ではもし、いいえと返されていたら彼はどんな反応を示しただろう。
流れている音楽が有線ではない場合。そしてこの客が音楽自体には興味がないとする場合。客の質問を保管するならこのようになるのではないか。すなわち、
「これは、有線ですか。それとも私の幻聴ですか」
もちろん勝手で無礼な想像にすぎない。けれど、そういうこともあるかもしれないな、と有線のチャンネルを変えながら思ったわけである。
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