2010年4月7日水曜日

限定

 昔の話です。大きな国の東の端に小さな村がありました。村は森に覆われていて、森の中にはたくさんの良い動物と悪い動物が暮らしていました。村人たちは神様との約束を守りながら、木を切り、実をもぎり、花を摘み、そして動物たちの命をわけてもらって生活していました。けれど中には良くない村人もいて、彼らは神様との約束を破っていました。しかも彼らはずる賢く、他の良い村人たちに紛れて生活をしていました。ですから村人たちは一体誰が良くない村人なのかわからず、みんな困ってしまっていました。

 さて。この村の外れに一軒の木こりの家がありました。その家には可愛らしい歌の上手な女の子が住んでいました。女の子は、本当の名前は違うのですが、自分のことをポーラと呼んでいました。大人たちは女の子に、どうしてポーラなの、と尋ねましたがそれは彼女だけの大事な秘密でした――

 いいえ、それは本当のことではありません。

 女の子は、それを自分だけの秘密だと思っていましたが、実はそれを知っている人が村にいました。そしてその人は、悪い村人でした。

 悪い村人はそのことがいつか自分にとってとても大きな障害になることを知っていました。だから女の子が大きくなる前に、なんとかしようと考えていたのです。

 女の子は木こりの一家と血が繋がっていませんでした。5年前、木こりが赤ん坊だった女の子を森の中で見つけたのです。木こりは大変真面目な性格だったので、悩みました。こんなところに赤ん坊である女の子を置き去りにしてしまったら、悪い動物に襲われてしまうことでしょう。けれど森から村へ持ってきていい命の種類は神様との約束で決められていました。そしてその持ってきてもいいものの中に人間の女の子が入っていなかったのです。

 木こりは大変悩みました。悩んで悩んで、そして結局女の子を連れて帰る事にしました。

 木こりの奥さんはその赤ん坊を見てびっくりしました。でもすぐに、これはきっと神様が自分たちにくださった幸福なんだと思いました。木こりの両親は神様との約束を破ったことになるんではないかと心配しましたが、すぐに何も言わなくなりました。木こりの一家はみんな、いつの間にか女の子が大好きになっていたのです。

 ところで女の子には毎朝決められた仕事がありました。それは森に入って川の水を桶に汲んでくることでした。その仕事は女の子が自分からやりたいと言い出したことでした。木こりの奥さんは心配性なので、そんなことはしなくていいといつも言うのですが、彼女が朝目覚めるともう既に汲まれた水が用意されているのでした。

 女の子が水を汲みに出かけると、ときどき猟師に出会いました。猟師はいつもキョロキョロしていて、その様子につい女の子は笑ってしまうのでした。

 そんなある日、女の子がいつものように水を汲んで帰ろうとしていると、ふと木の根元に咲く白い花に気づきました。真っ白い、今まで見たこともないような花です。女の子はしばらくその花に目を奪われた後、これをみんなにも見せてあげようと考えました。けれど両手は桶で塞がっています。そこで女の子は髪飾りのように花を髪に挿してみました。

 「おはよう」

 突然声をかけられて女の子は驚きました。振り返ってみると、いつもの猟師でした。女の子は彼に挨拶を返しました。

 「今日も早いね」

 猟師はいつもどおりキョロキョロしながら言いました。けれど今まで彼の方から話しかけられたことはありません。

 「なにか御用ですか?」女の子は尋ねました。

 「その花・・・、綺麗だね」猟師は笑ってみせましたが、その笑顔は少し不気味に感じました。「いや、そのね、ちょっと村長さんが君に話があるそうなんだ」

 「ポーラに?」女の子は首をかしげます。「んと、わかりました。後で行きます」

 けれど女の子の言葉に、猟師は首を横に振りました。

 「いや、今すぐに来て欲しいらしいんだよ」

 「え、なぜですか」

 「さあ、私はただ頼まれただけだから」

 「でも、これを運んでしまわないと」女の子は桶を掲げてみせました。

 「だけど私に頼むくらいだから、村長さんも相当急いでいるんだと思うよ」

 村長の家は村のちょうど中心にありました。木こりの家に帰ってから行くとするとかなりの時間がかかってしまいます。女の子は悩みましたが、結局桶をここに置いて村長の家へ向かうことにしました。

 「近道があるんだ。付いておいで」

 そう言って猟師は歩き出しました。女の子は彼の後に従って行きました。












































 女の子は、一生幸せに暮らしましたとさ。

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