この荒みきった現代社会において日常から逃避したいと思う人は多い。しかし責任感や自尊心、あるいは強迫観念からもはやこの環境が前提であり絶対であり、少なくとも自分から動き出すのは無理だ、と殆どの人は諦めている。そして非日常の側からこちらへやってきて、あわよくば自分を連れ出してくれないかと願い、待ち続ける。おそらく新宿駅南口で500人くらいにそう思っているんでしょ?と問い続ければ2,3人くらいは頷いてくれるはずだ。それはもう、とてつもなく嫌そうな顔をしながら。そんなにも現代人は疲れきっているのである。頷いてくれなかったうちの490人程度も、本当は心のなかでそのとおりだよ!と叫んでくれているものと思って良いだろう。
さて、このように日本人らしく待ちの姿勢で非日常を期待している人の殆どは、実は非日常に対して何の準備も出来ていないのではないだろうか。考えてみれば、彼らは日常に追われて非日常に憧れているのだから、非日常のための準備などできる余裕があるはずもない。しかしそれで良いのだろうか。そんなことでは、いざ待望していた非日常がやってきたとしても、ただ目の前を通り過ぎて行き、再び日常に埋没してしまうだろう。
だがきっと、それで良いと思う人が大半なのだ。望むのは日常の継続であり、そのための非日常という幻想なのだから。そんな人たちのおかげで社会が成立しているともいえる。けれど、それはあくまで大半であって全員ではない。幾らかの人たちは、本当に非日常を待っているかもしれない。したがって、非日常に対してどのような準備をすれば考えてみたい。
今回想定する非日常は、もし明日宇宙人が家にやってきたら、だ。
もちろん宇宙人が家にやってきた時点で、アナタの家は半壊している。宇宙人の乗り物が墜落したからだ。
これは宇宙人がやってくる話ではありがちだが、しかし現実で考えると非常に危険である。トーストを食べながら朝の団欒などしている余裕はない。むしろ避難すべきだ。しかしここで大事なのが、宇宙人がくるのがいつなのか我々には予想もつかないということだ。毎朝避難する、というのは労力面で現実的ではない。ここは一つ、地下シェルターを増築することをおすすめする。
それから、宇宙人は初めて見る地球で驚いたり不安になったりして、ついあなたのペットを解体しようとするかもしれない。だからアナタは宇宙人の不安を和らげる必要がある。不安を和らげるにはどうすればよいか。地球は、宇宙人にとっても非日常である。非日常において安心をもたらすのは日常である。すなわち彼にとって見慣れたものを見せるのが良い。そして、宇宙人はえてして全裸である。つまり、そういうことだ。
最後に、宇宙人がやってきたとき最も大切なのはやはり意思疎通だと思われる。なにせ彼にはこちらを気に入ってもらい、日常から連れ出してもらわないといけないのでかなり高いレベルでの意思疎通が必要になると思われる。そこで最も有効な手立てを考えると、ここは拳しかないだろう。一時的に不仲になってしまうかもしれないが、最終的には「カカロットお前がナンバーワンだ」といってくれるに違いない。ファイト。
総合すると、もし明日宇宙人がアナタの家にやってきたら、
1.地下シェルターから
2.全裸で出迎えをし
3.とりあえず殴り合う
以上三つを試してみるのが良いだろう。そのためにアナタは今すぐ床を掘り、全裸で朝を迎え、日々体を鍛えておくのが望ましい。
その準備の段階ですでに非日常的だ、と思うのであれば、その通り。日常とか非日常なんて、そんなものだ。ただ、非日常に備えてこれらの事をしているということはあまり人に話さないほうが賢明だろう。それはそれで非日常を得られるだろうが、冒険するのと追放されるのとでは同じようで全然違うからだ。

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