さて、昨日に引き続き万引き事件について。まあでも結果から書くと最終的に犯人は捕まっていないわけで、解決は存在しない。しかしそれを言うなら犯人が捕まったとしても、犯人が真実を語るとは限らないので、そもそも解決なんてないのではないのか、あるいは解決なんて所詮個人の納得または諦めが生み出す幻想にすぎない、なんつって。詩的私的素敵。
そんなわけでただぐだぐだと僕は僕を解決するために考えた推論をテキトーに書いていこう。
まず単純に犯人は悪戯にそれをしたのではないのか。しかし昨日最後に書いたように、注文票を取り出す行為は犯人の捕まる可能性を高めることになる。犯人の人格が破綻していないなら、悪戯にするというのは考えられない。ここでは一応ビニールを破り注文票を取り出したことには犯人にとって何らかのメリットがあったという前提で考えてみる。
なぜ注文票は取り出されたか。ここで犯人が行ったと思われる行為を時系列で考える。まず本を手に取りビニールを破る。そして注文票を抜き出す。それから注文票をコミックの上に放置し、手に取った本を持ち去る。この過程のどこかに犯人のメリットがあったはずである。
ではまずビニールを破るときにメリットがあったとする。どのようなメリットか。本から余分なものを取りたかった?だからビニールを破り注文票も取り去った。しかし、コミックの上に残されたのは注文票だけであり、ビニールはなかった。従ってそれは考えづらい。
ならば、注文票を抜き出したときにメリットがあったとする。実は注文票が抜かれる現象自体は、ビニールがかけられていない本にも日常的に見られる。立ち読みをするときに注文票があることは邪魔になるからだ。では、犯人も立ち読みをするために注文票を抜いたのだろうか。それは考えられないことではない。その場合、二人以上がそこに関わっているようにも思えてくる。犯人が一人の場合、予めone pieceを盗ることは予定として決定されていると考えたほうが自然だ。盗ると決定されている本ならわざわざ立ち読みする必要はない。しかし複数人がそこにいた場合、決定されていた犯人の知識が揺らぐ可能性が出てくる。分かりやすいように具体的に書くと、犯人が自分の持っていないこの最新刊を盗るということをその場にいた知人に話したとしよう。そこで知人は「これが最新刊だっけ?」というように犯人の知識に揺さぶりをかける。犯人は当然店員にそれを尋ねることができないので、その証明として内容を知人に見せる、といった感じだ。
あるいは、注文票をとった人物と犯人が全く関係のない赤の他人であるという可能性も考えられる。注文票を取った馬鹿者は、単純にそうすることで立ち読みをした。その後現れた犯人が、ビニールのかかっていない本を立ち読み用と勘違いし(1冊だけ見本としてビニールをかけない本を棚に置く店もある。ただしうちはそれをしていない)、立ち読み用ならいいだろうという理由で本を持っていった。あたかも試食品は食い放題だと勘違いするガキのように。
この二つの案は意外とあり得そうだが、一応さらに可能性を考えてみる。
ビニールを取ること、注文票を置くことによって何が可能になるのかというと、それはすべてのページがスムーズに開けるということである。そこから生じる犯人にとってのメリットが立ち読み以外にあったとすると他に何が考えられるだろう。
そこで僕は、犯人は防犯装置を恐れたのではないだろうか、と考えた。本屋で多く使われる防犯装置に、店の出入り口にセンサを仕掛け、本の中にそのセンサを反応させる栞のようなプラスチックを挟むものがある。実際それはうちの系列店でも使われている。うちの場合導入費が被害額に見合わないと判断されたため入れていないのだが、犯人がこれを警戒したというのは十分にありうる。うちに置いてある本にも、ときどきその導入している他店から持ってきたものには挟まっていることがあり、たまたまそれを見つけた犯人が勘違いしていても不思議ではない。
ではなぜ注文票を残してしまったかというと、この場合、ただの犯人のミスということになってしまうが、見つからないように確認の作業をしていた犯人が慌ててうっかりミスをしたということなら、さもありなんといったところだ。
以上が僕の考えだ。どれが正しいのかは決めていないし、決める必要もないと考えている。重要なのは、そこから万引きをさせないためのヒントが隠されていないか考えることである。というのは真面目な店員を装った意見であり、素で言うなら、いろいろ検討すれば楽しいしそれで十分、バイト先で万引きが起ころうが給料が出るならどーでもいいよ、だ。
ただし、僕にだけは見つからないようにやって欲しい。正直見つけたくないし、見つけた後のごたごたなんて絶対にごめんだ。